絵本はリテラシーを深める新しい学び

Edutopia(アメリカの教育実践メディア)によると、
絵本は中学生のリテラシー教育においても、非常に有効な教材になり得るとされています。

一般的に絵本は「幼児向け」「簡単な読み物」というイメージを持たれがちです。
しかし、Edutopiaの記事では、詩・ノンフィクション・イラストを組み合わせたピクチャーブックが、中学生の
語彙力深い読解力情報を統合する力(シンセシス)
を育てる強力なツールになると紹介されています。

なぜ絵本が効果的なのか?

この考え方は、決して感覚的なものではありません。
教育研究では、視覚情報(イラストや図)を伴う教材は、学習者の理解や読書への関与を高めることが示されています。
たとえば、英語教育分野の研究では、視覚的支援があることで、生徒の読書意欲や内容理解が向上したという報告があります(Yunus et al.2013)。

また、文章だけの教材に比べて、

  • 内容をイメージしやすい
  • 再読しやすい
  • 複雑なテーマでも心理的ハードルが下がる

といった特徴があり、思考を深めるための「入口」として非常に優れているのがピクチャーブックです。

学校での実践:授業でどう活かす?

① 「読む」から「考える」へつなげやすい

Edutopiaでは、詩形式の絵本を使うことで、

  • 比喩や象徴を読み取る
  • 行間を考える
  • 情報を整理し、言葉で説明する

といった高次の読解スキルを自然に育てられると述べられています。
文章量が多すぎないため、「読むこと」自体にエネルギーを使い切らず、思考や対話に時間を使える点が、中学生にとって大きなメリットです。

② 教科横断型の学びにつながる

絵本は英語(国語)だけでなく、

  • 社会:歴史・人物・社会課題
  • 理科:自然・環境・宇宙
  • 美術:色・構図・表現

など、複数教科を横断した学びにも発展させやすい教材です。
実際、アメリカの中学校現場では、ピクチャーブックを「単元導入」や「思考のきっかけ」として使う実践も多く報告されています。

③ 授業で使える問いの例

  • 詩の表現は、事実理解にどんな影響を与えている?
  • イラストがなかったら、理解はどう変わる?
  • この本から得た情報を、別の資料と比べると何が見えてくる?

こうした問いは、考える力・話す力・書く力を同時に育てます。

家庭での実践:親ができる関わり方

ピクチャーブックの良さは、家庭でも取り入れやすい点にあります。

① 「正しく読ませる」必要はない

家庭では、

  • 音読させる
  • 内容を説明させる

必要はありません。
むしろ、
「この絵、どう思う?」
「この言葉、どんな気持ちがする?」
といった感想ベースの会話で十分です。

② 難しいテーマこそ、絵本が助けになる

環境問題、差別、歴史、命など、中学生にとって重くなりがちなテーマも、絵本なら感情と理解をつなげながら話すことができます。
これは、家庭での対話を深める「共通の材料」としても非常に有効です。

③ 「読書=勉強」にならないのが最大の価値

研究でも示されているように、読書へのポジティブな感情は、長期的な学力形成に大きく関わります。
絵本は、

  • 短時間で読める
  • 親子で共有しやすい
  • 会話が自然に生まれる

という点で、読書を「義務」ではなく「対話の時間」に変えてくれる存在です。

まとめ:絵本は「考える力」を育てる教材

Edutopiaの記事と関連研究から見えてくるのは、絵本が決して「簡単な教材」ではないという事実です。
むしろ、

  • 思考の入口をつくり
  • 理解を深め
  • 対話を生み出す

高度なリテラシー教育のツールとして、大きな可能性を持っています。
学校でも、家庭でも。絵本は、中学生の学びを一段深くする、静かだけれど確かな味方です。

出典 Edutopia, Picture Books for Middle School Literacy


Profile|Tomoka Shibue

元・中学高校の家庭科教員。
数百件以上の生徒・保護者面談やコーチングを行い、幼児〜高校生まで幅広い発達段階の子どもと家庭に向き合う。
現在は海外大学院で学び続けながら、教育・心理・マインドセットを探究。
教育 × 自己実現をつなぐコーチングを提供。

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