5歳以上

絵本読みたがり屋けんちゃん

31歳から保育園で保育士として働き始めました。
自宅から片道1時間半の通勤で毎日ヘトヘトでした。
始発電車でないと間に合わない日もあるし、通勤ラッシュもあるし、
帰りはつり革につかまって立ったまま寝ちゃう。

中でも1番ヘビーだったのが、オープン園のスタッフだったことです。
保育の現場の人たちは、よく蒸発するんです。常に人がいない。
保育士1年目でヘラヘラ仕事をするのかなと思っていたら、
オープン3日後にリーダーと連絡つかなくなりました。
そのため、3歳児クラスのサブだった僕が必然的にリーダーに。

オープン園のいいところでもあり、悪いところでもあるのですが、保育歴は関係ないんです。
横並びでヨーイドンで一緒に働き始めるもんだから、
「教える・教えてもらう」という関係性がありません。
自分なりに試行錯誤しながら保育をし続けるしかない。
誰も教える余裕がないし、僕も誰からも教えを請いませんでした。
そんなふうにずっと保育士をやってきたから、
保育について、まともに教えてもらったことがありません。

勝鬨の保育園で働き始めて4年目に、近くにもう1園オープンすることになり、副主任として異動しました。
保育のことを何にも知らない人間ですが、翌年には主任でした。
その会社では、5、6年目ですでに中堅クラスです。
若いって怖いな、と今では思いますけど「あなたの言ってることはおかしい、僕のやり方があります!」と
園長に楯突き、険悪な関係になりました。
クラス担任、担任のリーダーをやりながら、
副主任の仕事としてさまざまな書類業務、
生命保険会社の待機児童補助金の申請事務をさせられ、
死んだ魚のような目で働き続けました。
あるとき、はたと気づきました。
「僕、このままだったら死ぬぞ」と。
もう、逆にイエスマンになる。
園長の言うことは全て「イエス」と受け入れた上で、
自分の好きなことをやると決めました。
これにより徐々に関係が修復されました。

絵本も好きで読み始めたわけではないんです。
30歳を過ぎて保育士になって、給料が安いから稼ぎをよくするためには、
なにか武器を持たなくてはと考えました。
役者をやってきた自分にとって武器になるのは何かなと考えて、とりあえず絵本かなと。
ただそれだけの話。
ただ、絵本はすごい力を持っている。
子どもと絵本を読み、言葉では言い表せないような2つの体験をしました。

あるとき、3歳クラス24人に
くらやみこわいよ』(レモニー・スニケット作 ジョン・クラッセン絵 蜂飼耳訳 岩崎書店)
という絵本を読みました。
24人いたら、それぞれ好みが違うから、見たり見なかったりするんです。
ところが、この絵本を読んだときだけは、24人全員見てたんですよね。
薄いパーティーションの隣には2歳児がいるので、生活音がガンガン聞こえてくるのですが、
絵本を読んでいる時間は、僕もぐわ〜って入っているし、子どももぐわ〜って入ってるなと感じたんです。
全部、読み終わって、「え? 今、何が起こったんだろう?」

もう1冊、ぐわ〜っとなったの絵本が『
はしるってなに』(和合亮一文 きむらゆういち絵 芸術新聞社)です。
僕は、基本的に絵本で教訓を得るとか、絵本で何かを学ぶとかすごく苦手です。
だけど、この絵本は、3.11のことを描いているということはありありとわかったのに、
買っちゃったんです。買ったんだけど、ずっと読めないままでした。
3.11を経験をしていない僕がこの絵本を読むことで、
何か間違った体験として子どもたちに伝えてしまうんじゃないかという怖さを持っていて、
ずっと読めませんでした。

ある日、避難訓練が終わって、「絵本読もっか」と絵本の棚を開けたら、
『はしるってなに』がドーンと視界に入ってきました。
読めってことかもと戦々恐々と手に取り、みんなの前に歩いていって、
本当に読めるのか俺?と不安になりながら、読み始めました。
3.11が強烈というのもあるのですが、良くも悪くも力強く描いている絵本なので、
読むのが本当に辛い場面があるんです。
もう無理、キツい、読めない、絵本閉じよ〜と前を見ると、みんながふわ〜っと絵本を見ていたんです。
目の前に座っている男の子が、目をカッと見開いてこちらを見ていて、
(ああ、これは閉じちゃだめだ)と読み切りました。
僕一人では読めなかった絵本。
子どもたちがそこにいてくれたから、あの子たちが僕の背中を押してくれたから読めた。

「絵本ってなんだろう? いい絵本ってなんだろう?」という疑問が湧きました。
それを知りたくて仕方がない、勉強する場がないだろうか。
探しに探し回ったときに出会ったのが、絵本セラピスト協会でした。
目が飛び出るくらい高い受講料だったけど、
「とりえず、これに行ったれ」と、2017年に絵本セラピスト養成講座を受講しました。
「絵本ってこういう世界なんだ、へー。保育園で子どもと読むのとずいぶん違うな」と思いました。

2018年に一般財団法人 出版文化産業振興財団(JPIC)の読書アドバイザー養成講座を受講しました。
そこで、絵本専門士を知り、2018年に絵本専門士養成講座を第5期生として受講しました。
絵本について学ぶ中で、村中李衣先生や松居直さんの著作を読み漁りました。
村中先生の「読みあい」という考えと、
松居直さんの「読み聞かせは表現である」という考えが、
僕の中にすごくフィットしたんです。
「こういう風になりたい、どんな世界が見えるんだろう。もっと知りたい」
という欲求がズブズブズブと昂りまくりました。
「絵本を読みあう」「話を聞く」ことで誰かの夢、やりたいことを後押ししたいし、人を笑顔にしたいです。

趣味は、寝ること。映画鑑賞。写真を撮る。美術館めぐり。
好きな食べ物は、ダントツで迷いなく、ハンバーグ!(←即答)
人からよく言われる言葉
猪突猛進。情熱的。めんどくさい。(←好きなものを語り出すとずっとずっと語っちゃうから)

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