こんにちは。
今回は「子どもを観察することの大切さ」についてお話ししたいと思います。
子育てをしていると、子どもの“困った行動”に直面することがあると思います。
癇癪を起こす、きつい言葉を言う、泣き叫ぶ――そのたびに「どうしたらいいの?」と戸惑ってしまいますよね。
でも、こうした行動には必ず「理由」があります。
その理由を見つけるために最初にできること、それが「観察」です。
今回は、あるご家庭のエピソードを通して、観察することの大切さ、そして観察から得られる“気づき”についてお話しします。
「困った行動」は突然起きるわけじゃない
にちにちのプログラムに参加されているお母さんから、「年中の娘が毎日のように癇癪を起こしていて困っています」というご相談がありました。
1歳の弟がいるそのお子さんは、時に大声で泣き叫び、弟やお母さんに対して強い言葉を投げかけることもあるそうです。
たとえば、家族でコンビニに行ったとき。「好きなジュースを選んでいいよ」と言われた姉弟。弟がペットボトルのジュースを選ぶと、お姉ちゃんは「なんで!ずるい!」と泣き叫んで手がつけられなくなった、という出来事がありました。
いったい、彼女の中で何が起きていたのでしょうか?
私たちは、答えを見つけるために“記録=観察”をお願いしました。
観察することで、感情から一歩引ける
2週間の記録をとっていただいた結果、お母さんが得た気づきは驚くほどたくさんありました。ここでは、その中でも印象的だった「4つの視点」をご紹介します。
1. 客観的に行動を見られるようになった
「癇癪が始まった、さて今回はどんな様子かな?」と、少し距離をとって観察できるように。
以前は感情的に巻き込まれていた場面でも、冷静に見守る余裕が生まれたそうです。
2. 小さな成長に気づけた
「思ったより早く落ち着いたな」「自分から謝れたな」など、これまで気づかなかった“できていること”を見つけられるようになりました。
3. 行動が起きやすいタイミングがわかった
観察を続けてみると、癇癪は特に週末に起こりやすいという傾向が見えてきました。
平日はスケジュールが安定しているけれど、週末は予定変更が多く、予測がつかないことで不安になっていたのかもしれないと仮説が立ちました。
4. 行動の“意味”が見えてきた
コンビニのジュース事件も、「弟も紙パックを選ぶ」と思い込んでいたお姉ちゃんが、想定外のことに出会って不安になった――そう観察できたのです。
つまり、彼女の中で“予測が外れること”は、とても大きな不安を引き起こす出来事だったというわけです。
観察すれば、“困った行動”の見え方が変わる
行動分析学の視点では、行動の背景には目的や理由があると考えます。
そして、その理由を明らかにするためには、「まず観察して、記録する」ことが欠かせません。
今回のように、記録によって行動のパターンや背景が見えてくると、
「ただのわがまま」「問題児」といったラベルを貼るのではなく、「不安だったんだね」「安心したかったんだね」と、子どもの本当の気持ちに寄り添えるようになります。
お母さんも「嫌いって言われるのが本当につらかった」とおっしゃっていました。
でも観察によって、「これは本心ではなく、不安を伝える手段だった」と分かってからは、少しずつ笑顔が戻ってきました。
子どもを理解する第一歩は「観察」から
子どもの困った行動を変えようと思うとき、まずは「どう関わればいいか」に目が向きがちです。
でも、最初にすべきは「よく観察すること」。
その観察から、子どもの内面や求めていることが見えてきます。
記録をつけながら観察することで、
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子どもの“できていること”に気づける
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自分の感情に巻き込まれず冷静に対応できる
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行動の背景にある不安やニーズが見える
-
どう関わるべきかのヒントが見えてくる
そんなふうに、観察は子どもとの関係をよりよいものに変えてくれる“最初の一歩”になるのです。
おわりに
今回のエピソードを通して伝えたかったのは、
「子どもの行動には理由がある」ということ、
そして「その理由は、観察を通じて見えてくる」ということです。
2週間、少し立ち止まって見守ってみる。
その中であなたが気づくこと、そして子どもが見せてくれる姿が、きっとあるはずです。
今後も、今回のお母さんとお子さんの“その後”についてもシェアしていきたいと思っていますので、ぜひまた読みにきてくださいね。
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